「みんなの電子署名ってどんなサービス?」
「他社と比べた特徴や、料金が発生する条件は?」
みんなの電子署名は、使い方によっては完全無料で利用できる電子署名ツールです。 電子契約など、デジタル上での取引に役立つ機能が全て無料で利用できます。
この記事では、みんなの電子署名のサービスに関する情報を徹底的に解説しています。料金や機能、他社と比較した特徴などを総合的に掲載。 最後までお読みいただければ、みんなの電子署名のサービスについて詳しく理解できるでしょう。
この記事を書いた人
DX(デジタルトランスフォーメーション)が推進されている昨今、電子契約の導入を検討されている企業も多いのではないでしょうか?電子契約サービス29社を徹底比較した筆者が、みなさまの円滑な電子契約導入をサポートいたします。顧問弁護士による記事のリーガルチェックも経験済み。
【目次】
みんなの電子署名とは
みんなの電子署名とは、期間制限なく全機能を無料で利用できる電子署名ツールです。2021年2月16日から新しく提供開始されました。
世の中には電子署名ツールが多数ありますが、無料プランの場合は期間制限や機能制限がある場合がほとんど。 その点、みんなの電子署名なら全ての機能を無料で使い続けられるため、コストを抑えて電子契約を導入できるメリットがあります。
運営会社は株式会社ベクター
みんなの電子署名の運営会社は株式会社ベクター(Vector)です。 パソコンの様々なソフトを販売するオンラインサービスが有名で、ソフトバンクのAndroidアプリ取り放題サービス「App Pass」の運用なども行っている企業です。設立は1989年であり、ベクターはIT業界の老舗的な存在です。 そんなベクターが提供する電子署名ツールだからこそ、みんなの電子署名は高い信頼性のあるサービスなのです。
セキュリティ
電子署名ツールを導入する際に、気になるのがセキュリティ面です。 契約業務には多数の機密情報が含まれるため、情報漏えいのリスクはできる限りゼロに近づけたいものです。みんなの電子署名では、SSL暗号化により通信を保護しているほか、ファイアウォールを用いたセキュリティ対策も行っています。
他にも不正侵入の検知システムや不正リクエストを防ぐシステム、サーバーアクセスの常時監視など、様々な対策が実施されています。
また外部の専門業者でセキュリティの脆弱性診断を行っており、万全を期した対策が特徴です。
導入事例
ベクター社にインタビューしたところ、個人事業主や中小企業、そして大手企業など導入している企業規模は幅広いようです。 企業規模に関わらず対応できるように機能を実装していると、インタビューで仰っていました(※インタビュー記事はこちら)。みんなの電子署名の機能
みんなの電子署名には、電子上での取引に必要不可欠な機能が一通り全て揃っています。 みんなの電子署名に搭載されている機能の例を紹介すると、以下の通りです。
- 電子署名
- 認定タイムスタンプ
- ワークフロー設定
- ワンタイムパスワード
- 文書の保管
- 検索
- 操作ログ記録
上記の機能が全て無料で利用できます。それぞれどのような機能なのか、詳しく解説していきます。
電子署名
みんなの電子署名では、電子上での取引の証拠力担保に必要な「電子署名」が利用できます。 電子取引では「電子署名法」と呼ばれる法律により、電子署名を付与することで法的効力が認められます。みんなの電子署名では、サービス提供会社であるベクターの電子署名が付与される仕組みです。 つまり電子契約サービスにおいては「立会人型」に分類されるサービスです。 立会人型の電子契約サービスは、取引先への負担が小さく利用しやすいメリットがあります。
認定タイムスタンプ
みんなの電子署名では、「認定タイムスタンプ」の機能が標準搭載されています。 認定タイムスタンプとは、電磁的記録物が存在する時刻を証明するためのものです。 電子署名と認定タイムスタンプを組み合わせると、より強い法的効力を担保できます。また電子署名と認定タイムスタンプを併用すると、電子署名の有効期限を最長10年まで延長できる「長期署名」にも対応できます。 つまりみんなの電子署名では、締結済みの契約書は10年という長期間の有効期限が確保されています。
さらに認定タイムスタンプを利用することで、税務関係の書類を電子化する際の「電子帳簿保存法」にも対応できるようになります。
ワークフロー
みんなの電子署名には、企業の契約業務に必要不可欠なワークフロー機能が搭載されています。 紙と印鑑の契約で行っていたワークフローと同じ流れで電子契約を締結でき、スムーズに電子契約を導入できるでしょう。さらに、みんなの電子署名のワークフロー機能には複数の承認パターンが用意されています。 複数の承認者へ順番に承認依頼を出す方法や、承認者全員へまとめて承認依頼を出す方法などがあります。
ワンタイムパスワード
みんなの電子署名では、ワンタイムパスワードの機能も無料で利用できます。 他の電子契約サービスでは同様の機能が有料オプションになっている場合が多く、それを無料で利用できるのはみんなの電子署名のメリットです。ワンタイムパスワードを利用すれば2要素認証が行えるため、より厳格な本人確認が実施できます。 すなわちより強い法的効力を担保できるため、重要な契約などに役立つ機能です。
文書の保管・検索
みんなの電子署名で締結した電子契約書は、クラウドサーバー上で保管できます。 保管している文書を検索する機能もあり、紙の契約書よりも管理が簡単。ペーパーレスに役立つサービスとなっています。
操作ログ記録
みんなの電子署名には、ユーザーの操作ログを記録する機能が搭載されています。 不正を防止したり発見したりするために、操作ログの記録は重要です。 他の電子契約サービスでは操作ログ記録ができないものもありますが、みんなの電子署名なら可能です。どんな場合に利用料金が発生する?
「機能も期間も無制限なのに無料で使えるってどういう仕組み?」と疑問に思う方もいるでしょう。 全ての機能が無料で使えるみんなの電子署名ですが、料金が発生するケースが1つだけあります。
それは、署名済みの文書を1年以上サーバーへ保管する場合です。 保管料金は50文書で月額550円(税込)であり、文書が増えると月額料金も高くなる仕組みです。
他社の電子契約サービスではおよそ1万円の月額料金が相場です。 そう考えると、みんなの電子署名は料金が発生する場合でも非常にリーズナブルなサービスなのです。
みんなの電子署名のコストシミュレーション
実際にみんなの電子署名を使い続けた場合、どの程度のコストが発生するのかシミュレーションしてみましょう。 今回は、1年以上保管する文書を月間20件締結すると仮定してみんなの電子署名の料金シミュレーションを行います。利用開始からの期間ごとの月額料金例を表にまとめましたので、ご覧ください。
利用開始からの期間 | 累計保管文書数 | 課金対象の文書数 | 月額料金(税込) |
---|---|---|---|
〜12ヶ月 | 240件 | 0件 | 0円 |
〜14ヶ月 | 280件 | 40件 | 0円 |
〜15ヶ月 | 300件 | 60件 | 550円 |
〜17ヶ月 | 340件 | 100件 | 1,100円 |
〜20ヶ月 | 400件 | 160件 | 1,650円 |
〜22ヶ月 | 440件 | 200件 | 2,200円 |
〜24ヶ月(2年) | 480件 | 240件 | 2,200円 |
〜36ヶ月(3年) | 720件 | 480件 | 4,950円 |
〜48ヶ月(4年) | 960件 | 720件 | 7,700円 |
〜60ヶ月(5年) | 1,200件 | 960件 | 10,450円 |
月間20契約と仮定すると、およそ5年間の利用で月額料金が1万円程度になることがわかります。 法人の書類保管期間は7〜10年ほどであり、保管の必要がなくなったデータを削除すれば、料金が増え続ける心配はありません。
利用開始からすぐに月額料金が発生する他社のサービスと比較すると、みんなの電子署名はリーズナブルなサービスとなっています。
サービスの特徴とメリット
ここまでに紹介したみんなの電子署名の情報から、他社サービスと比べた特徴やメリットを見てみましょう。
他社では有料オプションの機能が無料で使える
みんなの電子署名の特徴として、他社では有料オプションになっている機能でも、無料で使える点が挙げられます。例えばワンタイムパスワードによる2要素認証や操作ログの機能などは、他社では別途オプション料金が発生するのが一般的。 それがみんなの電子署名なら無料なので、コストを抑えつつ高機能なサービスを利用できます。
取引先が別の電子契約サービスを使っていても対応しやすい
みんなの電子署名は利用するだけなら料金は無料です。 取引先が自社とは別の電子契約サービスを使っている場合、どちらかが歩み寄って複数のサービスを有料契約するのは経済的ではありません。その点、みんなの電子署名なら1年以上保管しない場合は完全無料で利用できます。 取引先が自社とは違う電子契約サービスを使っている場合でも、対応しやすいでしょう。
長期間使い続けても料金がリーズナブル
みんなの電子署名は、継続して長期間使い続ける場合でも料金がリーズナブルです。 他社の有料プランを契約すると、最初の月から月額1万円〜の料金が発生します。単純計算でも年間12万円ほどのコストが必要です。一方のみんなの電子署名なら、使い始めた最初の1年間は利用料金が発生しません。2年目からも保管数に応じた課金のため、保管数が少なければ月額料金は安く済みます。
他社サービスとの簡単な費用比較
他社サービス「1ヶ月分」 = みんなの電子署名「5年分」
※仮定: 他社サービスの月額料金を1万円とし、みんなの電子署名は1年以上保管する文書を月間20件締結した場合
※仮定: 他社サービスの月額料金を1万円とし、みんなの電子署名は1年以上保管する文書を月間20件締結した場合
最初の1年間は完全無料のためお試し利用にも最適
みんなの電子署名には、使い始めた最初の1年間は料金が発生しない特徴があります。 そのため、「電子契約に興味があるけど、本当に効率化できるか心配」と感じる方でもお試しで利用しやすいです。ITの老舗ベクターが運営だから安心
みんなの電子署名の運営会社はITの老舗として有名なベクターです。 サービスの知名度を重視する企業であっても、みんなの電子署名なら安心して利用できます。他社サービスと比較
こちらでは、みんなの電子署名の特徴をより深く知るために、他社の電子契約サービスと料金や機能を比較してみましょう。 比較対象は、電子契約サービスの中でも大手に分類される以下の3サービスです。
- クラウドサイン
- 電子印鑑GMOサイン
- DocuSign
それぞれの料金や機能を比較表にまとめましたので、ご覧ください。
サービス名 プラン |
みんなの電子署名 | クラウドサイン Standard |
電子印鑑GMOサイン 契約印&実印プラン |
DocuSign Standard |
---|---|---|---|---|
月額基本料金(税込) | 550円/50文書 ※1年以上保管で課金 |
11,000円 ※別途従量課金あり |
9,680円 ※別途従量課金あり |
40ドル/1ユーザー (月額プラン) |
ユーザー数 | 無制限 | 無制限 | 無制限 | 契約数まで |
電子署名 | ○ | ○ | ◎ (当事者型) |
○ |
認定タイムスタンプ | ○ | ○ | ○ | × |
ワークフロー機能 | ○ | × (上位プラン限定) |
○ | ○ |
操作ログ記録 | ○ | - (公式に記載なし) |
○ | ○ |
2要素認証 | ○ | ○ | ○ | ○ |
API連携 | - (公式に記載なし) |
○ | △ (オプション) |
× (上位プラン限定) |
このように、みんなの電子署名は料金がリーズナブルなのに他社では利用できない(またはオプション)機能も多数使える便利なサービスであることがわかります。
ただしみんなの電子署名にもデメリットはあり、例えばAPI連携については公式サイトには記載がありません。 API連携を利用したい企業であれば、みんなの電子署名へ問い合わせるか他社を検討する必要があります。
API機能を利用するなら、特におすすめなのは当事者型の電子契約を結べる「電子印鑑GMOサイン」です。 API連携にはオプション料金が必要ですが、当事者型なので法的効力の強い電子契約が結べます。
みんなの電子署名の使い方
みんなの電子署名を使って電子契約を結ぶ方法は、以下の通りです。
- PDF文書をアップロード
- 文書名などの補助情報を入力
- ワークフローを設定
- 承認/署名を依頼
- 全ての承認/署名を終えたら完了
このように、署名作業はたったの5STEPで完了します。 ワークフローはテンプレートとして保存できるため、1度設定すれば2回目以降はテンプレートから使用することが可能です。
参考までに、上記画像はみんなの電子署名の文書アップロード画面です。 視覚的にわかりやすく、初めての方でも使いやすい仕様になってるのがわかりますね!
みんなの電子署名の評判と口コミ
みんなの電子署名は2021年2月に登場した新しいサービスですが、インターネット上での評判や口コミはどうなのでしょうか? みんなの電子署名の評判や口コミを集めましたので、ご覧ください。
(・∀・)AdobeSignとみんなの電子署名が神すぎる。
— 深澤諭史 (@fukazawas) March 19, 2021
コストパフォーマンスも最高。
ベクターがやってる「みんなの電子署名」だけサービス内容の割に安すぎて逆に怖い(基本無料、電子署名、タイムスタンプあり、文書保管に月500円)
— polygros Inc 阿部 聡也 VR/VTuber (@tomsawyer100) March 19, 2021
安いと安いでサービス存続できるのか、急に値上げすんじゃないかという不安が。
このように、みんなの電子署名の料金の安さやコストパフォーマンスの高さに期待している人も多いようです。 今後のシェアの拡大が期待されているサービスとなっています。
こんな会社におすすめ
これまでに紹介してきた特徴を踏まえると、みんなの電子署名のサービスは次のような会社におすすめです。
- 初めて電子契約を導入する
- ペーパーレス化を進めたい
- 他社サービスを検討していたがコストが気になる
- 取引先にも電子署名サービスを勧めたい
- 毎月の契約数が少ない中小企業や個人事業主
- 契約作業だけ電子上で行い、文書保管は紙でも問題ない
みんなの電子署名は、契約数と保管文書が多い企業ほどコストアップするサービスです。 そのため、毎月の契約数が少ない中小企業や個人事業主であれば、非常にリーズナブルな料金で利用できます。
まとめ:安くて高機能な電子署名ツール
この記事では、みんなの電子署名のサービスについて総合的に解説しました。 みんなの電子署名の特徴をおさらいすると、以下の通りです。- 搭載されている全機能を無料で使える電子署名ツール
- 他社では有料オプションの機能も無料で利用可能
- 料金が発生するのは文書を1年以上保管する場合のみ
- 保管料金は月額550円/50文書とリーズナブル
みんなの電子署名は、料金が安いのに高機能な電子署名ツールです。 署名済みの文書を1年以上保管しなければ完全無料で利用できるため、まずはお気軽にお試し利用してみてくださいね。